並進による慣性モーメントの変化を解き明かす:シュタイナーの定理(Steiner’s Theorem:定軸定理)を徹底解説

数理物理
慣性モーメント、コマ

棒を振り回すとき、持つ場所によって「重さ」の感じ方が変わりますよね。中心を持てば軽く感じるのに、端を持つと急に重く感じる。実はこれ、慣性モーメントという量が、軸の位置によって変わるからなんです。

この変化をきちんと計算できるのが、シュタイナーの定理(平行軸の定理)です。重心を通る軸まわりの慣性モーメントがわかっていれば、そこから平行にずらした別の軸の値も求められます。基本式は I = IG + Md²。同じ物体でも、どこを軸に回すかによって「回転速度を変えにくい度合い」は変わります。

試しに、細くて一様な棒で考えてみましょう。中心を軸にしたときと、端を軸にしたとき。実は、端を軸にすると慣性モーメントは4倍にもなります。

では、薄い円板ではどうでしょうか。中心軸から、縁を通る平行軸へ移すと今度は3倍になります。同じ「軸をずらす」という操作でも、物体の形によって増え方はずいぶん違うんです。この違いを、図や身近な例、手計算を交えながら見ていきます。

この記事では、シュタイナーの定理の数式や物理的な意味、導出の仕方まで、順を追って解説します。

積分の知識がなくても大丈夫です。最初は、物体を小さな重りの集まりとして考えるところから始めましょう。後半の導出パートで、「足し算を細かくしたものが積分」という見方へ少しずつ進んでいきます。なお、記事中の数値例や図は説明のために作成したもので、実際の測定値ではありません。

1.シュタイナーの定理とは:物体ではなく、比べる軸を変える

冒頭でも考えましたが、棒を回すとき、中央を押さえるか端を押さえるかで動き方が違います。長さも質量も変えていないのに違いが生じるのは、回転軸から各部分までの距離が変わるためです。シュタイナーの定理は、この「軸の位置の違い」を計算に取り込む道具です。

ここでいう「軸を移す」は、回転中の物体の支点を実際に動かす過程を計算することではありません。同じ形・同じ質量分布の物体について、二つの固定軸を別々に選んだときの値を比較します。軸の向きは保ち、位置だけを平行にずらします。

また、「重心を通る」という条件が重要です。重心とは、各部分の位置を質量で重み付けして平均した点です。一様な棒なら真ん中ですが、片側に重りを取り付けた棒では重心が重り側へ寄ります。見た目の中心を無条件に重心としてはいけません。

2.慣性モーメントとは:なぜ遠い質量ほど回しにくい?

ドアで区別したい「質量の位置」と「押す位置」

ドアの蝶番を回転軸とします。蝶番の近くに小さな重りを固定する場合と、同じ重りをドアの外側の縁に固定する場合を想像してください。同じ角度だけドアが回っても、外側の重りは長い円弧を進みます。同じ時間で同じ角度だけ加速させるなら、外側の重りほど大きく速度を変える必要があります。

このため、同じ質量を追加しても、軸から遠い場所に取り付けた方が回転の加速・減速への影響は大きくなります。「回しにくい」とは、摩擦が増えるという意味ではなく、同じ回転作用を与えたときに角速度が変わりにくいという意味です。摩擦のない理想的な軸でも、この違いは残ります。

一方、ドアは蝶番の近くを押すより、取っ手を押す方が開けやすいはずです。これは今の説明と矛盾しません。取っ手へ手を移してもドアの質量分布は変わらず、慣性モーメントも同じです。変わったのは力を加える位置と、その力が作るトルクです。

ドアに垂直な力なら、トルク τ = Fℓ。Fは押す力、ℓは蝶番から力の作用点までの距離です。同じ10 Nの力でも、ℓ=0.10 mなら1.0 N·m、ℓ=0.80 mなら8.0 N·mとなります。「質量を外へ移すと慣性モーメントが増える」と「外側を押すと大きなトルクを作れる」は、別の量についての話です。トルクの定義はOpenStax 10.6でも確認できます。

距離が2倍になると、寄与は4倍になる

質量mの小さな重りが軸から距離rにあるとき、その慣性モーメントは I = mr² です。1.0 kgの重りなら、r=0.20 mで0.040 kg·m²、r=0.40 mで0.160 kg·m²。質量は同じでも、距離が2倍になると値は4倍です。

距離の2乗が出る理由は、運動エネルギーからも理解できます。角速度ωで回る点の速さはv=rωです。ωは「1秒あたり何ラジアン回るか」を表す量で、同じ剛体では軸からの距離によらず共通です。遠い点ほどrが大きい分だけ速く動きます。

K = ½mv² = ½m(rω)² = ½(mr²)ω²。つまり、同じ角速度まで回すために必要な運動エネルギーを決める係数がmr²です。物体全体では各部分のエネルギーを足し、K=½Iω²と表します。Iはエネルギーそのものではなく、ω²に掛かる係数です。定義とエネルギーの関係はOpenStax 10.4を参照してください。

重りの集まりから、連続した物体へ

物体を番号iの付いた小さな部分に分けると、I = Σmiri²です。Σは「すべての部分について足す」という記号です。miはその部分の質量、riはその部分から回転軸までの最短距離で、重心までの距離ではありません。

棒や円板をさらに細かく分けると、和を I = ∫r²dm と書けます。dmはごく小さな部分の質量、∫はそれらの寄与を物体全体にわたって足し合わせる記号です。位置ごとにrが異なるため、一般には全質量Mに一つの距離の2乗を掛けるだけでは求まりません。

3.平行軸の定理が必要になる理由

教科書の公式表には、棒の中心軸や円板の中心軸など、対称性のある位置での値がよく載っています。しかし実際に知りたいのは、蝶番で支えた扉や、端からつるした部材、回転支点からずれて取り付けられた部品の値かもしれません。

軸を変えるたびに、すべての質量要素の距離を調べ直して積分することもできます。平行軸の定理を使えば、重心軸の値が既知なら、全質量と軸間距離だけを使って変換できます。複雑な部品でも重心とIGが分かれば同じ考え方を使える点が便利です。

ただし、中心軸の値そのものが分からない問題では、それを先に積分・既知の公式・測定などで求める必要があります。平行軸の定理は、任意の形のIGまで自動で教える公式ではありません。

4.公式と記号を図で確認する

I = IG + Md²

右辺の最初の項は「重心軸まわりにもともとある値」、二つ目は「軸が重心軸からずれたことで増える分」です。二つを足すと、新しい平行軸まわりの値になります。公式の標準的な記述と棒・円板の基準値はOpenStax 10.5を参照しています。

記号意味単位
I求めたい平行軸まわりの慣性モーメントkg·m²
IG重心Gを通る、基準軸まわりの慣性モーメントkg·m²
M比較している物体全体の質量kg
d2本の平行な軸の最短距離m
Md²重心軸から移したことによる増加分kg·m²
重心Gを通る青い回転軸と、距離dだけ離れた点Aを通るオレンジ色の平行軸。慣性モーメントはIGからIG+Md²に変わる。
図1:重心軸(青)と移した平行軸(オレンジ)。dは2本の軸の最短距離。薄い面は位置関係を示すための模式的な面です。

図1の青い線が重心Gを通る基準軸、オレンジ色の線が点Aを通る新しい軸です。両方とも同じ向きなので平行です。dは軸に沿った高さの差ではなく、2本を直角に結ぶ距離です。実際の物体は棒・板・立体のどれでもよく、定理は物体の形を限定しません。

例えばM=2.0 kg、d=0.30 mなら、増加分は2.0×0.30²=0.18 kg·m²です。これだけではIは決まらず、物体固有のIGを足す必要があります。またd=0なら増加分は0で、元の重心軸の値に戻ります。この確認は公式を取り違えていないかの簡単な点検になります。

5.計算例:一様な棒の中心軸と端の軸

条件と基準値をそろえる

質量M=2.0 kg、長さL=1.2 mの細い一様な棒を考えます。「一様」は長さあたりの質量が一定という意味です。棒の太さの寄与は無視し、比較する軸はどちらも棒に垂直とします。棒の長手方向の軸を使う問題とは区別してください。

同じ一様な棒で、上は中心Gを通る軸、下は端Bを通る平行軸。軸間距離はL/2で、端の慣性モーメントは中心の4倍。
図2:同じ棒を中心軸(上)と端の軸(下)で比較。どちらの軸も棒に垂直で、端へ移す距離は棒の全長ではなくL/2です。

中心Gを通る軸では、基準値は IG = ML²/12 です。数値を入れると、2.0×1.2²/12=0.24 kg·m²となります。長さを先に2乗し、その後に質量を掛けて12で割っています。

この1/12も、質量を細かく足すことで求まります。長さdxの小片の質量はdm=(M/L)dxです。中心をx=0とすると棒は−L/2からL/2まで続くので、IG=(M/L)∫x²dxをこの範囲で計算します。x²を積分したx³/3に両端を代入して引くと、(M/L)×L³/12=ML²/12となります。積分が未習なら「遠い部分ほどx²に比例して大きく数え、棒全体を足した結果」と捉えて先へ進めます。

端Bへ移すときの距離はd=L/2=0.60 mです。図2で棒の全長Lと、中心から端までの距離dを見比べてください。dに1.2 mを入れると、実際の2倍の距離を使ってしまい、増加分は4倍に誤って計算されます。

IB = 0.24 + 2.0×0.60²
= 0.24 + 0.72
= 0.96 kg·m²。

0.24は中心軸の値、0.72は軸をずらしたことによる増加分です。一般式で計算しても、ML²/12+M(L/2)²=(1/12+1/4)ML²=ML²/3となり、同じ結果になります。

「3倍」ではなく「4倍」になる理由

端と中心の比は、0.96/0.24=4です。増加分の0.72が元の0.24の3倍なので、元の1倍と合わせて4倍になります。「追加した分が3倍」と「合計が3倍」を混同しないことが大切です。

回転軸まわりの合トルクτと角加速度αには、一定のIを持つ剛体の固定軸回転で τ = Iα の関係があります。αは角速度が1秒ごとにどれだけ変わるかを表します。同じ合トルク0.48 N·mなら、中心軸でα=0.48/0.24=2.0 rad/s²、端の軸でα=0.48/0.96=0.50 rad/s²です。端を軸にすると角加速度が1/4になる、と具体的に読めます。運動方程式の適用条件はOpenStax 10.7を参照してください。

この比較では「同じ力」ではなく「同じ合トルク」にそろえました。同じ場所を同じ力で押しても、軸を変えると腕の長さが変わることがあります。重力・摩擦・支点の抵抗があるなら、それらのトルクも含めて比べなければなりません。

6.計算例:円板の中心軸と縁を通る平行軸

質量M=3.0 kg、半径R=0.20 mの薄い一様な円板を考えます。基準軸は中心Gを通り、円板の面に垂直な軸です。この軸での値はIG=MR²/2なので、3.0×0.20²/2=0.060 kg·m²となります。

円板の中心Gと縁Bを通る、面に垂直な2本の平行軸。軸間距離は半径Rで、縁の軸の慣性モーメントは中心軸の3倍。
図3:薄い一様な円板を斜めから見た模式図。青・オレンジの軸はいずれも円板の面に垂直です。面内の接線を軸にする場合とは異なります。

縁の点Bを通り、同じく面に垂直な軸へ移すならd=Rです。したがって、IB=0.060+3.0×0.20²=0.180 kg·m²。一般式ではIB=3MR²/2となり、中心軸の3倍です。中心から縁へ移す距離は半径で、直径ではありません。

棒では4倍、円板では3倍となるのは、基準値IGと移動距離の関係が異なるからです。定理に共通なのは「Md²を足す」という操作であり、どんな物体も同じ倍率になるわけではありません。例えば同じ円板でもd=R/2なら、増加分はMR²/4となり、合計は3MR²/4、中心軸の1.5倍です。

縁を通るという言葉だけでは軸の向きが決まりません。円板の面の中にある接線は、図3の縦の軸とは平行ではありません。その接線まわりを求めるなら、平行な「面内の中心直径」を基準にする必要があります。図で方向をそろえる習慣が誤計算を防ぎます。

7.公式の導出:重心を使うと交差項が消える

まず小さな重りの集まりで考える

重心Gを座標の原点に置き、基準軸をz軸とします。各部分の位置を(xi, yi, zi)とすると、z軸からの距離の2乗はxi²+yi²です。z方向にどれだけ高い位置にあっても、軸までの最短距離には影響しません。

座標のx方向を移動方向に選び、新しい軸をx=d、y=0に置きます。軸の向きはz軸と同じです。その軸までの距離の2乗は(xi−d)²+yi²。点の座標から軸の座標を引いているので、括弧の中に−dが現れます。

I = Σmi[(xi−d)²+yi²]

括弧を展開すると、(xi−d)²=xi²−2dxi+d²です。各項をまとめ、dはどの部分にも共通の数なので和の外へ出せます。

I = Σmi(xi²+yi²)
− 2dΣmixi
+ d²Σmi

最初の行は重心軸の慣性モーメントIG。最後の行ではΣmi=MなのでMd²です。残る真ん中の項は、重心の定義によって0になります。重心のx座標はΣmixi/Mで、原点を重心に置いたため、この値が0だからです。

したがって I=IG−2d×0+Md²=IG+Md² となります。「個々の質量が必ず全部遠くへ移るから」という説明だけでは不十分です。軸を移せば近づく部分もありますが、質量を掛けて全体を足すと交差項が消え、結果としてMd²だけ増えるのです。

連続した物体でも同じ計算になる

和を積分へ置き換えると、次の式です。dmは質量要素、xとyは重心を原点とした座標で、積分範囲は物体全体です。

I = ∫[(x−d)²+y²]dm
= ∫(x²+y²)dm − 2d∫x dm + d²∫dm

順にIG、0、Md²となるので結論は変わりません。重心を使って∫x dm=0とする点が核心です。移動方向が最初のx軸と違っても、座標の向きを選び直せば同じ導出になります。

別の見方として、M>0でMd²≥0なので、向きが同じ平行な軸の中では重心軸の値が最小だと分かります。「あらゆる向きの軸の中で最小」という意味ではありません。細長い棒なら、長手方向とそれに垂直な方向では基準値自体が大きく違います。

8.応用:部品を組み合わせる場合と振り子

複合物体は、同じ軸にそろえてから足す

質量2.0 kg・長さ1.2 mの棒の両端に、各0.50 kgの小さな重りを固定した模型を考えます。重りの大きさは無視し、棒は一様です。左右対称なので全体の重心は棒の中心。中心軸で棒の寄与は0.24、二つの重りの寄与は2×0.50×0.60²=0.36です。合計は0.60 kg·m²になります。

全体の質量は3.0 kgです。端へ軸を移すなら、I=0.60+3.0×0.60²=1.68 kg·m²。Md²に入れる質量を棒だけの2.0 kgにしてはいけません。直接計算でも、棒の0.96、軸上の重りの0、反対側の重りの0.50×1.20²=0.72を足し、1.68と確かめられます。

部品ごとに計算する場合、各部品の重心軸から共通の回転軸へ変換してから足します。異なる位置の軸で求めた値同士を、そのまま足してはいけません。ボルト・重りなどを省略できるかは、それぞれの質量だけでなく、軸からの距離も見て判断します。

棒を端からつるすと、周期の計算にも現れる

棒を端で支えて鉛直面内で小さく振らせると、質量が一点に集まった単振り子ではなく、広がりを持った「実体振り子」になります。支点から重心までの距離をℓ、支点軸の慣性モーメントをIPとすると、小振幅での周期はT=2π√(IP/(Mgℓ))です。gは重力加速度で、根号内は時間の2乗の次元を持ちます。適用条件はOpenStax 15.4を参照してください。

先ほどの棒ならIP=0.96 kg·m²、ℓ=0.60 m、g=9.8 m/s²として、T=2π√(0.96/(2.0×9.8×0.60))≈1.80 sです。ここで誤って中心軸の0.24を使うと約0.90 sとなり、周期を半分に見積もってしまいます。重力のトルクが働く支点軸に、慣性モーメントの軸も合わせる必要があることが分かります。

この周期は、軸の摩擦を無視でき、棒が剛体として動き、振れ角が十分小さいときの近似です。大きく振らせた実験値と一致しないからといって、ただちに平行軸の定理が破れているとは判断できません。運動モデルの近似と、質量分布の恒等式は分けて考えます。

9.よくある間違いと、使える範囲

重心以外の軸から、そのままMd²を足す

最初の棒で、中心から右へ0.30 mの軸Aと、左へ0.30 mの軸Bを比較します。どちらも棒に垂直なら、IA=IB=0.24+2.0×0.30²=0.42 kg·m²です。左右対称なので、回りにくさが同じになるのは自然です。

AとBの間は0.60 mですが、IB=IA+2.0×0.60²とすると1.14 kg·m²となり、誤りです。基準にしたAが重心を通っていないため、導出の交差項を0にできません。

同じ重心軸に平行な軸同士なら、重心軸からの距離をdA、dBとして、IB−IA=M(dB²−dA²)と引き算します。使うのは「重心軸からの距離の2乗の差」であり、AとBの距離の2乗ではありません。この例では0.30²−0.30²=0なので差も0です。

単位と、別の定理との混同

dをcmのまま使うと値が大きくずれます。30 cmは0.30 mで、その2乗は0.090 m²です。Mをkg、距離をmにそろえればIの単位はkg·m²になります。Mdと書いてしまうとkg·mになり、次元の確認だけでも間違いを見つけられます。

また、薄い板で使う「垂直軸の定理」Iz=Ix+Iyは、同じ点を通る互いに垂直な軸の関係です。軸の位置を平行に移す本記事の定理とは別です。材料力学の断面二次モーメントにも似た形の平行軸公式がありますが、そちらは面積を積分し単位はm⁴です。質量を扱う慣性モーメントのMと混ぜないでください。

変形する物体では何に注意する?

平行軸の定理自体は、質量分布についての恒等式です。必要な積分が有限なら、柔らかい物体でも「ある瞬間の同じ形と質量分布」を二つの平行軸で比べられます。ただし、変形中にIが変化したり、各部分が同じ角速度で動かなかったりすれば、剛体の固定軸回転と同じ運動方程式をそのまま使えるとは限りません。

10.問題を解くときの手順と練習

①軸を描く。物体の形と、求める軸の位置・向きを記入します。②重心を決める。形の中心と一致するか、一様性や対称性を確認します。③平行な重心軸のIGを用意する。公式表なら軸の図まで照合します。

④dを測って単位をそろえる。軸間の最短距離をmで表します。⑤I=IG+Md²へ代入する。増加分と合計を分けて書きます。⑥検算する。I≥IGか、単位がkg·m²か、d=0で基準値へ戻るかを確認します。

練習として、質量4.0 kg、半径0.30 mの薄い一様な円板で、中心から0.10 m離れた、面に垂直な軸のIを求めてみてください。中心軸の値はMR²/2です。半径と軸間距離が異なる設定なので、記号を分けてから計算することがポイントです。

解答:IG=4.0×0.30²/2=0.18 kg·m²。増加分は4.0×0.10²=0.040 kg·m²なので、I=0.22 kg·m²です。Rを使うのは円板の基準値、dを使うのは軸の移動分、と役割を区別できれば正しく解けます。

まとめ:重心軸・平行・最短距離をそろえる

シュタイナーの定理は、重心軸の値にMd²を加えることで平行な軸の値を求めます。距離の2乗が効くため、質量が外側へ分布する影響は大きくなります。ただしドアを外側で押すと開けやすいのはトルクの話で、慣性モーメントの増減とは区別が必要です。

式だけを暗記するより、図にGと二つの平行軸を書き、dを一本の線で示してください。棒の端ならd=L/2、円板の縁ならd=R。重心以外の軸から無条件に足さないことを守れば、単純な物体から部品を組み合わせた模型、実体振り子まで同じ考え方で扱えます。

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